石鹸の豆知識
普段何気なく使っている石鹸について、その種類や歴史、原料、製造方法などについてご説明します。
普段、何気なく使っている石鹸ですが、非常に奥深い。。。ここでは、その一部を簡単にご説明します。
石鹸の歴史
私たち日常で使用している「石鹸」とは脂肪酸の塩の総称です。C12からC18までのアルカリ塩で構成されています。この皮膚洗浄用としての石鹸は紀元前から存在したと云われ、1世紀頃の科学者であるプリニュウスという人の著書にも出てくるそうです。
1万年前、人間が火を使うようになって獣肉を焼いて食べるようになってから、獣肉を焼いたときにしたたり落ちる油と木の灰が反応して土の上に自然の石鹸が出来たと云われます。
8世紀頃の北イタリアの港町「サヴォナ」というところで原始的な工業生産が始まり、この地名がドイツ語では「Seife」、フランス語では「Sevon」、英語だと「Soap」の語源になっています。
その後、ヴェネチア(ベニス)などでも製造され、マルセイユなどでも盛んに製造されて石鹸工業は大きく発展しました。この地中海沿岸で取れるオリーブ油と海藻を焼いて得られたアルカリを使って作られる石鹸がマルセイユ石鹸と呼ばれているものです。
石鹸の原料
石鹸の原料は、動植物の油脂と苛性ソーダや苛性カリを使って作られます。一般的には牛脂とヤシ油が用いられ、配合比率は牛脂60〜80%:20〜40%ヤシ油となっていますが、最近ではパーム油が多く用いられるようになってきています。その他にも、パーム核油、豚油、大豆油、米糖油、オリーブ油などが使用されます。それぞれ使用される原料により石鹸の脂肪酸組成などが変わります。脂肪酸組成が変わることによりその石鹸の特徴となります。
それぞれの脂肪酸の特徴
| 品種 | 石鹸としての固さ | 水溶性 | 泡 | 洗浄力 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| カプリル酸 カプリン酸 |
◎ | ○ | ○ | △ | オリーブ オイル用に作られた品種で、果実は長卵形です。油の品質が良く、収穫量も多い優良品種。地域適応性もよく、南北アメリカや南アフリカ、オーストラリア等でも栽培されているオリーブです。 |
| ラウリン酸 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | 気泡性が大きく、冷水でも泡立ちがよいが、洗浄力が炭素数の多い脂肪酸よりも劣り、肌への刺激がある。パーム核油、ヤシ油に多く含まれる。(飽和脂肪酸) |
| ミリスチン酸 | ◎ | △ | ◎ | △ | ラウリン酸より温水での気泡力は高く持続性がある。ココナッツオイル、パーム核油、牛脂、ラード、バター類に含まれる。(飽和脂肪酸) |
| パルミチン酸 | ◎ | △ | △ | ○ | 冷水でも温水でも比較的溶けにくい。牛脂、ラード、パームオイル、みつろう、バター類に含まれる。(飽和脂肪酸) |
| ステアリン酸 | ◎ | × | × | × | 融点が高いので冷水にも、温水にも溶けにくい。ラード、牛脂、ココアバター、シアバターなどに含まれる。(飽和脂肪酸) |
| オレイン酸 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | 肌に対してマイルドな働きがあり、肌に潤いを与える。使うと溶けやすいタイプの石鹸。オリーブオイル、牛脂、米ぬか油、椿油、グレープシードオイル、ローズヒップ、サフラワーオイル、ひまわり油などに含まれる。(不飽和脂肪酸) |
| リノール酸 | × | ◎ | × | × | 酸化速度が速い。肌に対しては皮膚の再生作用などもある。月見草オイル、グレープシードオイル、ひまわり油、サフラワーオイルなどに含まれる。酸化しやすく、洗浄力にも寄与しないので、石鹸の主原料とされることはない。(不飽和脂肪酸) |
| リノレン酸 | × | ◎ | × | × | α(あるふぁ)と、γ(がんま)がある、αは、皮膚再生に効果がある。オリーブオイル、ローズヒップオイル、ひまわり油、小麦胚芽油などに含まれる。γは、皮膚の健康に役立つ。月見草オイル、ボリジオイルなどに含まれる。石鹸の主原料とされることはない。(不飽和脂肪酸) |
| リシノレン酸 | ◎ | ◎ | △ | △ | ヒマシ油中にのみ存在する特殊な脂肪酸。透明石鹸の原料として用いられる。 |
※水溶性や洗浄力は、冷水〜40℃を基準とした評価です。
石鹸の種類
毎日、何も考えず使用している石鹸も化粧品や食品と同様に添加物が加えられ、肌トラブルの原因になりかねません。メーカーに惑わされず自分の危機管理は自身で行うことが今の時代には必要なのかもしれません。
●健康危機管理に関する情報>国際化学物質安全性カード(ICSC)>http://www.nihs.go.jp/ICSC/![]()
このサイトで気になる添加物を入力すれば、その物質の特徴が分かります。
化粧石鹸
一般的に店頭で販売されている白い固形石鹸のほとんどがこの化粧石鹸と呼ばれているもので冷水でもお湯でも適度に泡立ち、金属石鹸などが出来にくいよ うにエデト酸塩(※表示指定成分)などの金属封鎖剤や泡をクリーミーにするため、皮膚を保護するために高級アルコールや炭化水素などを添加しているものも 少なくありません。また、適度な芳香のために香料を添加したり、見栄えを良くするためにタール色素(※表示指定成分)変質防止剤のジブチルヒドロキシトルエン(※表示指定成分)なども添加されているケースもあります。
透明石鹸
白い石鹸の他に少し透明がかった石鹸があります。これは、グリセリンや砂糖及びアルコールなどの透明化剤を配合して作られています。保湿剤であるグリセ リンや砂糖が配合されるため皮膚の保護作用があり、使用感もマイルドです。しかし、中にはグリセリンと同じ目的でプロピレングリコール(※表示指定成 分)、ソルブトール、ポリエチレングリコール(※表示指定成分)、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤などの添加物が配合されているケースもあります。
プロピレングリコール
化粧品に使用される多価アルコールるいの中でも比較的分子量が小さく、したがって、感触が軽い。分子量が小さいため皮膚浸透性が高く、連続使用による刺激が想定され、皮膚刺激があるとして、使用を自粛する化粧品メーカーもある。
薬用石鹸
身体洗浄剤の中には薬用石鹸と呼ばれるものがあり、「化粧品」ではなく「医薬部外品」扱いとなっています。(したがって、全成分ではなく、指定成分だけが表示を義務付けられています。指定成分以外に有効成分が表示されていることもあります。)これらは「石鹸」という名前がついていますが、この「石鹸」というのはあくまでも「洗浄剤」という意味で、「脂肪酸ナトリウムまたは脂肪酸カリウム」の意味ではありません。
薬用石鹸と呼ばれるものには、肌の殺菌消毒を目的にしたデオドラントソープと、 肌荒れの防止を目的にしたメディカルソープ(メディケイテッドソープ)の2通りがあります。
デオドラントソープには、ベンザルコニウム塩(一般に逆性石鹸と呼ばれている陽イオン界面活性剤)やトリクロサン(※表示指定成分)などが殺菌剤として
配合されています。 しかし、汚れを洗い流すだけなら普通の石鹸でも十分な効果がありますし、このような洗浄剤を使っても、短時間の手洗いでは、特に汚れていない手についている細菌(皮膚常在菌)はほとんど減らないことが確かめられています。
メディカルソープには、消炎剤やビタミン類、保湿剤などが配合されています。 洗浄成分としてはアシルイセチオン酸塩やアシルグルタミン酸塩などの合成界面活性剤が使用されていることが多いようです。
トリクロカルバン・トリクロサン
これらの原料は、殺菌防腐剤であるため、除菌石鹸、デオドラント製品等に汎用されている。トリクロカルバンはグラム陽性菌に優れた防腐殺菌作用を持っている。トリクロサンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、カビ等幅広い抗菌スペクトルをもつ。
※トリクロカルバンは妊婦用品、新生児用品には使用されるべきでないとされている。
※トリクロサンは下水排出後紫外線照射による分解により、トリハロメタンを生成する危険性が指摘されています。
合成化粧石鹸
合成洗剤を単独で使用した合成化粧石鹸と、合成洗剤と石鹸を組み合わせた複合石鹸があります。これらには、アシルイセチオン酸塩、アルキル硫酸 エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、N-アシル-L-グルタミン酸塩などの合成洗剤が使用されています。
無添加石鹸
原料の油脂と苛性ソーダを用いて作られる固形の脂肪酸ナトリウムと、原料の油脂と苛性カリを用いて作られる脂肪酸カリウムと呼ばれる液体の石鹸です。製造工程で自然に含まれる水分とグリセリン以外のものを含みません。
※表示指定成分
人間の体を洗うための洗浄剤である、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、お風呂で使う化粧石鹸、歯磨き剤などは薬事法という法律で規制されていて、厚生労働省が管轄しています。
これらのものについては、以前は全ての成分を表示する義務はなく、アレルギーなどの皮膚障害を起こすおそれのある102種類(香料を含めて103種類)の成分(表示指定成分と呼ばれていました)だけを表示することがメーカーに義務づけられていましたが、
薬事法の改正により、2001年4月以後、全ての成分の表示が義務付けられました。
石鹸のいろいろな製造方法
釜焚きけん化法(バッチ法とも呼ばれます)
伝統的な製造方法で最近ではあまり行われなくなっています。この方法では、けん化→塩析→水洗→仕上げ煮および仕上げ塩析などの工程を経て石鹸が製造されます。
具体的には、まず釜に原料となる油脂を仕込み加熱し撹拌します。そこに苛性ソーダの水溶液を加えていくと油脂は脂肪酸とグリセリンに分かれ、脂肪酸は苛性 ソーダと化合して脂肪酸ソーダとなり(石鹸)グリセリンは水相と混和します。これが「けん化」と呼ばれるものです。
このけん化した物をさらに撹拌を続けながら食塩か飽和状態の食塩を徐々に加えていくと、石鹸は塩水に溶けにくいので水分と石鹸とに分離します。この作業を「塩析」と呼びます。
こうして出来た物を保温しながら数時間から数十時間放置すると石鹸は上層に浮かび(ニートソープ)、次に不純物を含んだ質の悪い石鹸(ニガーソープ)最下層には不純物の混和物(廃液)の3層に分かれます。
ニートソープは、さらに加熱や乾燥をさせて仕上げ加工されます。ニガーソープはさらに苛性ソーダや食塩を加えることを繰り返して仕上げていくことで石鹸になります。廃液からはグリセリンや食塩を回収することが出来ます。
連続けん化法
油脂と苛性ソーダを均一に、かつ高速で接触させる連続製造方法を連続けん化法と呼びます。方法も何種類があり、シャープレス法は、油脂と苛性ソーダを向流接 触させてけん化させます。ユニリバー法は、水蒸気噴射によって高温下でジェット撹拌しながらけん化させます。モンサボン法は、コロイドミルという物を用いて乳化状態でけん化させる方法などもあります。
中和法
原料の油脂をあらかじめ脂肪酸とグリセリンに分離して脂肪酸にアルカリを作用させて中和することで石鹸を作ります。けん化法と違い塩析という工程が無いため短時間で石鹸が作れますが分離脂肪の劣化が始まらないうちに中和したり品質の向上のためにグリセリンを加えたりする必要があります。
エステルけん化法
メチルアルコールをエステル交換反応させて脂肪酸メチルエステルを作り、アルカリでけん化して石鹸とメチルアルコールにする方法で短時間で完全にけん化できます。
石鹸の仕上げ
こうして出来た石鹸をロール、プロッターなどの機械にかけ、練と圧縮を加えて棒状にして整形したものを「機械練り石鹸」と呼び、型に流し込んで、冷却、固化、切断、乾燥させたものを「枠練り石鹸」と呼びます。






